冥福
おじが亡くなったとの連絡がきた。
母の姉の連れ合いである。
3.11で被災しつつ近年、新居を構えたばかりなのだが。
当日は華奢なおばが1階から2階へ、病気で不自由になった足のおじを押し上げていったらしい。
「お前ひとりであがりなさい。」
「何言ってるの!!」
おばの首元まで水が来た時に、何か戸棚のようなものがふたつ倒れて1階の水をせきとめる形となり、ふたりは何とか2階へ。
心細かったことと思う。
あれから9年、どんな思いで暮らしていたのか。
母の姉達は皆未亡人となってしまった。
「残るは俺だけか…」
うちの爺さんがつぶやいたので
「ま、若手だからね。」
と言っておいた。
遠いから来なくていいのよ、とおば。
というより、ここから感染ゼロ地帯に行かれても、田舎では噂になって迷惑かかるかも。
静かにおじの冥福を祈ることとする。
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