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2014年8月13日 (水)

mikiログ的怪奇譚~百ものがたり~お盆SP3

お盆SPということで、3年前からはじめた怪奇譚のコメント欄を使って、ご参加頂いた中から、再登場願う企画です(とはいえ私の独断と偏見、趣味によります)

ご常連のtetujin様は、ダイバーでいらっしゃいますので、個人的には海の中の話をご紹介したいと思いましたが…こういう、やっちまった風絶望感が漂うお話もまた好きなので。

どうせtetujinさんのブログに載ってるんだろっ!と、このmikiログを素通りしていくのはやめましょうよ(笑)

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その夜から、それが始まった。

深夜にアパートの部屋で寝ていると、ガンガンと誰かがドアを叩くのだ。
その音が聞こえると同時に、俺は金縛りにあって身動きが取れなくなってしまう。
必死で、手足を動かそうともがいているうちにドアを叩く音は止み、そして、俺は金縛りから解放される。
いつも、その後は、全身から冷たい汗が噴出していた。それが夜中に何度も続く。
眠りに入ると、ドアを叩く音が聞こえてくるのだ。

「金縛り」は、「脳からの指令が筋肉に伝わらず、動けない状態」を言う。
夜、眠っているときは、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているが、夢を見るのはレム睡眠の間で、金縛りはレム睡眠と関係がある。
つまり、寝入りばなで脳が働いているのに、脳からの指令が筋肉に伝わらず、動けないことが原因だ。

小さい頃はよく金縛りに会ったものだが、大人になってからは一度もなかった。あのウェブカメラで正体不明の男を見かけてからは。

毎晩のようにアパートのドアがノックされ、しかも、金縛りに会って身動きが取れなくなってしまうのだ。
ノックの音が、いたずらではないことはすぐにわかった。
翌朝、階下に済む大家に聞きに行くと何も聞こえなかったと言うのだ。俺は幻聴を聞いているのだろか。

たまりかねて大家に相談すると、霊能者という年配の女性を紹介してくれた。
うさんくさい格好をしたその中年女は、ひととおり話を聞くと、「朝になるまでは絶対に扉を開けるな」と言っただけで一万円を請求してきた。
どうやら、ウェブカメラに写っていたのは、やはり幽霊だったようだ。
でも、俺は恨まれることは何もしていない。ただ、ネット越しに目が合っただけじゃないか。

すでに一週間が経とうとしていた。毎晩、寝入りばなにドアを叩く音が聞こえてくる。
そして、その間中、金縛りになっていた。眠る時間をいろいろ変えてみたが同じだった。
ここ数日は、まともに寝ていない。

睡眠不足からくる頭痛で、どうにかなりそうだった。
そして、とうとう、気を失ってしまったのかもしれない。
目が覚めると、あたりが明るい。
<ああ、ようやく朝か> ドアを叩く音も止んでいる。目をこすりながら、よどんだ空気を替えようと、窓を開けた。

外はまだ、ま っ く ら だ っ た。


…ご愁傷様としかいいようがない。平成雨月物語…的な(感想も同じでお許し願いたい)

  

  01610079


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